腹に抱えた時限爆弾、生理が来ない辛さを知ってほしい

オンナの叫び

ごめんね、ルナルナ

「予定日まであと7日」スマホ画面の表示で、ああもうそんな時期かと思い出す。
女性のための健康管理アプリ「ルナルナ」が、今月も親切に教えてくれた。

予定日といっても、出産予定日じゃない。
私の「生理予定日」。

事前に知らせてくれるおかげで、面倒な生理と向き合う前に仕事を片づけておいたり、ナプキンを買っておいたり。
日々のスケジュール調整をするうえで、欠かせない存在だ。
だからこそ、こんなに親切なルナルナを、毎回裏切ってしまうのが心苦しい。
せっかく予想してもらったところ悪いが、私、約束を守れそうにないの。

だって私は、生理が来ない体質だから!

生理が来ない不安

「今日も来ない…」朝のトイレのたびに落ち込む。
ルナルナが教えてくれた予定日から1週間。
約束した時間に来ると思っていたはずが、ドタキャンされたような気分。

なんで?何があったの?と、生理を問い詰めたくなる。

でも無理。
だって体の中で起きていることだから。

トイレに座ったまま、ここ一ヶ月の出来事を振り返る。
何か体によくないことをしてしまったんじゃないか。
あの寝不足か?朝食を抜いたから?ストレス?
そんな間違い探しが始まり、自分で自分を責める負のスパイラルに陥る。
このお腹の中で、何が起きているんだろう?

願わくば、腹の中をかっさばいて見てみたい。

ある時、母が言った。「生理は女の宿命」だと…。
私は、その宿命を受け入れるつもりだったのに、待っていても来なかった。
特に辛いのは、たとえ生理が来なくても、女として生きていくことを続けなければならないことだ。
スカートを履いて、ネイルを塗って、メイクをして。

自分のことを「わたし」と呼んで、友人との恋愛話に夢中になって。
そうやって、涼しい顔してオンナを装っておきながら、心の中では泣いていた。

いつ、生理が来るの?これでも私、女なの?

不安でいっぱいだった。

生理が来た!その瞬間、頭に浮かぶ2文字

本当に気まぐれにやってくる。

何日遅れ、という感覚はもはやない。2ヶ月、3ヶ月来なくて当たり前。
一番長くて、半年来ない時もあった。

「え!?今日来るなんて聞いてないけど」と思いつつ、何か月も待ち焦がれた生理の登場に、私の心の氷は一瞬で溶かされる。
朝起きて、ショーツに赤い血を見た瞬間、頭に浮かぶのは2文字。

歓喜!!

待ってたよ!

もう来ないと思ってた!

私の日頃の行いが悪かったのかな?
先月の寝不足が原因かな?
これからは自分の体を大切にするね。

それにしても、何て美しい経血なんだろう。

歓喜!歓喜!生理は奇跡!!
と、まあこんな感じで気まぐれな男に騙される女みたいに、都合よく生理に振り回されている。
それくらい、私は自分の生理を甘やかしている。

生理のこととなると、ちょろい女なのだ。

生理は奇跡、それゆえに美しい

経血は見ていて飽きない。
赤い日もあれば、茶色い日も。

鉄錆のようにカサカサに乾いた日もあれば、ブルーベリージャムのようにべったり甘えてくる日もある。
毎月、同じ生理なんてあり得ない。

前の生理から今日まで、自分がどう過ごしてきたか?
その答え合わせの瞬間なのだ。

時に経血がどどめ色でも、そこには青春のようなストーリーがある。
子宮の中に長く留まっていた血が、体外に向かって流れてくる途中で空気に触れて酸化した証だ。

この流れが早ければ、赤い血のまま排出されるというだけ。
そうかそうか、あなたたちは、時間をかけてゆっくり私のもとに来てくれたんだね、と愛おしく思う。

トイレの個室でひっそりと行われる、経血との対面。
この美しさに立ち会えるのは世界でたったひとり、私だけなのだ。

一血一会。
我ながら、女性の体内は迷宮のようだと思う。

 

生理不順は時限爆弾

保健体育の教科書に書いてあった。
「生理はおよそ30日周期でやってくる」
「生理は健康のバロメーター。大人に近づいた証」
なんて、子供だましもいいところ。

私みたいに、全く生理が来ない女性に成長するパターンもある。

私にとって「生理周期」=時限爆弾。
周期が乱れると“女に非ず”の烙印を押されたような気分になる。

一日、一日と遅れるたび、自分の体に何か起こるんじゃないかと不安が募っていく。
そのタイムリミットを迎えた時、自分はどうなっちゃうんだろう。

お腹が爆発するのかな?

不安で不安で呼吸をするのも忘れた頃、気まぐれな生理が顔を覗かせて、タイムリミットが解除される。
生理に感謝して、安心した翌週。また不安な生活が始まる。

いつ、生理が来るの?これでも私、女なの?
生理は来なくても、“女であること”を続けなきゃならない。街行く人々にこう叫びたい。「皆さん!私涼しい顔して歩いていますが、お腹に爆弾抱えてます!いつ爆発するか分かりませんよ!」と。

書いた人 本間恵理

新潟県出身。東放学園専門学校卒業。学生時代にラジオの放送作家を経験した後、テレビの放送作家の事務所に就職。リサーチャーとして独立後、2020年7月、女性だけ...

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