「あんただけ幸せになるなんて許せない!」式場スタッフが聞いたオンナの叫び

ヤミ・沼

あなたはどんなウエディングドレスを着てみたいですか?

女性なら、一度は自分のウエディングドレス姿をイメージしてみたことがあるのではないでしょうか?

その妄想はふくらみ、髪には何をつけようかしら?
お花?それならバラ?
白、ピンク、オレンジミックスしたのもカワイイな~

だけど!やっぱり、シンデレラのようにキラキラと輝くティアラだな!

突然来た!想定外の一日

その日も、いつものように挙式当日の担当スタッフ用に、細かいタイムスケジュールが用意されていた。

目を通したが、取り立てて気になる注意事項などの記載無し。
働く側からすれば、普段と変わらなく挙式、披露宴が執り行われる予定だった。

取り扱い注意顧客というのは、どこの業界にもいると思うが、
そんな顧客には、要注意印がついているものだ。
その印である黒星★マークも無かった。

ヘアメイクと、アテンドを担当する私の印象も、好青年の新郎と新郎より5つ下の、しっかり者の可愛い新婦だった。

どうやら職場結婚のようで、会話の中には共通の友人や上司の名前が登場してきている。
きっと楽し気な盛り上がる披露宴になるんだろうな~

ふたりの会話には安定した空気感があった。

途中で喧嘩したり、どちらかがふてくされたりという事は無いだろう、と安心していた。

年間100組以上の結婚式に携わってきてた。
色々な人がいる。様々な人を相手に接客してきた。

多くのカップルの会話風景を見聞きしていると、思うことがある。

いつも攻撃的な女性とか、自分の事しか考えてない男性とか。
何一つ自分で決められない女性とか、細かすぎる男性とか。

そして、会話のない二人とか、、、、

両家の親同士が文句言いあっている家族とか。。。。

なんで、結婚するんだーーーー?

どうして結婚に踏み切ったんだーーーー?

それで幸せか?
幸せになる気あんのか?

まぁ、夫婦のことは当人にしかわからない、って言うものね。
余計なお世話よね。

挙式も無事終わり、披露宴がそろそろ始まる頃だった。
ゲストはすでに会場内に入っていた。

私と主役の二人は、専用スペースで入場前のお直しをしていた。

そこへ普段着姿の中年女性が現れた。
ツカツカと無表情でこちらへ近づいて来る。

ん?何?誰?と、思うと同時にだ!

「パッシーーーン!!」

一瞬にして時間(とき)が止まった。

幸せの象徴が傾いた瞬間

「あんただけ幸せになるなんて許せない」

その中年女性が、新婦の頬にビンタをしたのだった。

新婦「えっ???」

(何が起きてるんだ?)

「私たち夫婦は離婚したのにィー」

「なんでっ!あんたはっ結婚すんのよ」

やばっ!!!!

ヤバイーーーー

修羅場ってやつだよね?

「許さない。。。」
「人の家庭を壊しておいて。。。」

涙ぐんだ声に変っていた。

「ごめんなさい、、、」

絞り出すように、新婦が口を開いた。

その言葉を聞きたかったのだろうか。
その中年女性は走り去って行った。

(お、終わった?の?)

凍り付いた空気の中で、状況を整理しようと思いつつも、手は無意識に仕事をしていた。

ビンタされた瞬間に、頭上のティアラがずれてしまったのだ。

幸せの象徴。
ウエディングティアラが崩れた。。。。

相当な力だったと察する。痛かったよね。

「誰?」
新郎の声が低く響いた。

私はこの場から去るべきなのか?
(お直しが終了した段階で、私が各担当にGOを出す流れのため、スタッフはこの場に私しかいなかった。)

「たぶん、前の職場の人の、、、、」
「奥さん。。。。」

(えっっっー!それって???)

(どーしよー。私の存在忘れてる?)

叩かれたところ大丈夫かな?メイク直さなきゃ??
いいっか。今は。

パ二クる私の頭の中では、ぐるぐると思考がめぐっていた。

えっ~と~。そうか!

「少し、お時間おきますか?」

すごーく意識して、落ち着いた声のトーンにした。

新郎が頭を下げ 「お願いします」と。

いやぁ~どうする~この先~。

ゲストやご家族は、この先の二人の笑顔を楽しみに待っている。

今から
二人にとって、そして私にとっても拷問のような時間が始まるのだ。

人生何が起きるかわからん。。。

あなたも、お気をつけてね。

書いた人 一二三輝恵

35年以上にわたり美容業界に携わり、その内25年以上をブライダル業界で働く。 元々脚本家を目指していたこともあり、ブライダル業界にて 新郎新婦からのヒアリン...

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