女の子だからって、ぬいぐるみ好きじゃない!

オンナの叫び

ご近所づきあいを円滑にする「おさがり文化」の末路

ここ最近、子育てをするママ世代の間では「クレクレママ」による被害が叫ばれていると耳にした。「クレクレママ」とは、ママ友同士で服やベビーカーのおさがり、食べ物・お金などを、図々しく「クレクレ」と要求してくるママのこと。

私が子どもの頃は、あからさまに「クレクレ」とまで言わなくても、近所で「おさがり」を回し合うのが当たり前だった。私よりも年上の女の子から服をもらい、私が着なくなった服は、また別の年下の女の子に回す。これらの取引は、私が自ら手を汚さずとも、すべて母親が喜んで運び屋を引き受けてくれた。母にしてみれば、ご近所付き合いを円滑にするツールの一つだったのだろう。しかしこの「おさがり」の横流しの結果、実家のモノを捨てられなくて困っている人はいないだろうか? 

実家を離れてしまえば、これら「いらないモノ」の呪縛から目を背けることができる。でもそれは、一時的なエスケープに過ぎない。たとえ実家を離れても「いらないモノ」の所有権は、永久にあなたの手にあるのだから。

みなさん、実家は倉庫じゃありませんよ?

実家の所有物について、整理収納アドバイザーのえび子さんに話を伺った。

えび子さんの講座を受講する生徒は、主婦層が中心だが、最近では高齢者も増えているという。その生徒同士の世代の差で「所有物の認識」のギャップを感じたという。

40代50代の方の片付けを担当した時、所有物の行方を尋ねると

40代50代の方の片付けを担当した時、所有物の行方を尋ねると
『大丈夫です。コレは実家に送るんで』と言われることが多い。  一方、シニア向けの片付け講座をやると、皆さん『子供たちのものが片付かなくて「そのままにしといて」って言われるんだよ』と言われる」

「家庭」という目線で見ると、子どもは親に頼り、親は子どもをかばう形。だが、「片づけ」の目線で見ると、どちらも所有権を擦り付け合っているようにも見える。

実家にあるモノでも、所有者が娘さんなら、親はそのモノの片付けの判断ができません。みなさん、実家は倉庫だと思っていませんか?親御さんは困っていますよ。やめて頂戴。

なんと!実家は「いらないモノ」の墓場になりつつあるのだ。

実家にモノを置いちゃうと、自分が持っているモノの量が把握できなくなる。だからといって、実家に置いてあるモノと同じモノを、一人暮らしの部屋では買わないようにしよう、なんてことはないですよね。実家は別物。そう考えないと、自分の所有物を捨てる・捨てないという決断を先延ばしにしてしまいます。

えび子さんの話を聞いて、私の実家も倉庫と化していると感じた。

「女の子の部屋」の呪いから逃げ出したい

「女の子だから、ぬいぐるみ好きでしょ?」そう言われ、子どもの頃から大勢の人が、私にぬいぐるみをプレゼントしてくれた。というのは建前で、所有権を放棄され、行き場を失った人形たちが、最終的にたどり着く墓場が、私の部屋だった。

ショックだったのは、同じ家に住む兄弟すらも「女の子の部屋だから」という理由で、もともと自分の所有物だったぬいぐるみを、私の部屋に投げ込んだこと。おかげで、いらない人形まで私の所有物になってしまった。今も、30体以上の人形たちが整列して一歩も動かず私の帰りを待っている。みんな、表情ひとつ崩さないのだ。まるで、供養されるのを待つ人形寺のよう。

人形には魂が宿ると聞いた。行き場を失った人形たちが、せめて嫌な思いをしないよう、毎晩、枕元を囲うようにぬいぐるみを並べて眠った。でも、寝ている間になんだか視線を感じた。二軍三軍のぬいぐるみたちが、こちらを見下ろしている気がした。「わたしたちとは、一緒に寝てくれないの?」

そう、私が一緒に寝るのは一軍の人形だけ。

…あれは、呪いだった。「女子のこども部屋」特有の呪い。

「女の子だから、ぬいぐるみ好きでしょ?だから、わたしたちをもらってくれたんでしょ?」そう、人形たちに責められている気がした。なぜ、毎晩苦しまなければならないのか?なぜ、「女の子だから」という理由で、家族の中で私だけが人形たちの世話を任せられているのか。これが、一番つらかった。

実家で暮らす両親からは一度も「あの人形たち、どうする?」なんて言われたことがない。もしかして、両親にしてみれば、私が本気で人形たちを可愛がっていると思っているんだろうか?

私は一人暮らしを始めたことで、ようやく呪縛から抜け出した。でも、都合よく目を背けたずるい奴でもあるのだ。心のどこかで、本当はあの人形たちの所有権を放棄したいと思っている。それがあまりに不憫でできないから、今でも片づけられないのだ。

「おさがり」は、子どもの私が望んで譲り受けたものではない。母にとっては「娘のため、近所づきあいのため」。私からしてみれば「親のお節介」。こうやって、おさがり地獄は続いていくんだろうか。あなたの実家は、いらないモノの墓場になっていませんか?

書いた人 本間恵理

新潟県出身。東放学園専門学校卒業。学生時代にラジオの放送作家を経験した後、テレビの放送作家の事務所に就職。リサーチャーとして独立後、2020年7月、女性だけ...

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