「自粛生活が始まりホッとした」心理カウンセラーに聞いた、コロナ禍で言いづらい本音

オンナの叫び

小園さんの現在のお仕事内容について教えてください

私は現在、パニックやうつの方をメインにしたカウンセラーをしています。
私自身、若い頃にパニック障害を起こしたことがあり、自分自身の症状について調べるうち、カウンセラーという仕事が天職になりました。

これまでの相談者さんの傾向は?
また、コロナをきっかけにどんな風に形成が変わりました?

これまで出会ったクライアントさんの様子を見ていても、日常に加え、ニュースや社会情勢に敏感な方が多くいました。そこにさらなる打撃を与えた、新型コロナウイルス蔓延。世の中が世界規模で変容し、それに伴い、日本も初めての体験として自粛生活が始まりました。日常の悩みに加え、この自粛生活がさらに心の負担にならなければいいと願っていました。

ところが私の予想に反して、異常事態が起きました。
なんと、カウンセリングのお申し込みがピタッと止まったのです。
てっきり悩みが増えると心配していたのに、何が起きたのでしょう?

自粛期間が心の安らぎをもたらした

カウンセラーとして「相談者が少なくなった」ことをどう感じましたか?
また、自粛生活を機に相談件数が少なくなった原因ってなんだと思いますか?

給付金が発表された春ころを皮切りに、この7年間のカウンセリング歴の中で初めてと言っていいほど珍しい体験をしました。
正直、最初は戸惑いました。まさか、相談が来ないなんて…
でもクライアントさんたちそれぞれに様子を聞いていたところ、予想外の答えが寄せられたのです。

「自粛生活が始まりホッとした」
「(国挙げて)堂々と家に居ていいと推奨され肩の荷がおりた」

そんな反応が多かったのです。
毎朝、満員電車で通勤していた人たち。
パニックやうつなどで家に引きこもっていた人たち。
一体、どれだけのスピード社会に対応しようと頑張ってきたのだろう。
確かに感染という未知のものに対する不安がないわけではないけれど、それ以上に、これまでの日常のスピード感、情報のスピード感、それに人間が必死についていこうと無意識レベルで望む生活を送りたいという名目の元、どれだけ駆け抜けて日常を過ごしてきたのかと想像できました。

なぜ、自粛生活が始まってホッとしたのか?

心理カウンセラーの目線から見て、自粛生活は
どんなメリット・デメリットをもたらしたと思いますか?

自粛生活のメリットは「思いがけず生まれた時間」です。
どこかで聞いた話ですが、現代人の情報量は江戸時代の人々の情報量の1年分に相当すると言われているそうです。
しかし、人間の体がそれだけ進化したかと言えば、私はそうは思っていません。
情報量により、本来必要な心の空間、そして情報量が多いためにライフスタイル自体も(プライベート、仕事問わず)、情報や世の中の発展についていけず、いつも負荷をかけられた状態で生きて居たのではないでしょうか?

そうしたものを一度荷下ろしできる時間を与えられたことが「ホッとした」というフィードバックに繋がったものと考えています。

一方で、デメリットは「未知のウイルス感染に対する情報過多」です。
日々、専門家という人が次々とメディアに出てくる中で、何を信じていいのかエビデンス(根拠・証拠)も分からない状況ではなかったでしょうか。
それでも発信し続けられる未知の情報。特に不安症の方々は「答え」が欲しい方が多いので、情報には敏感であると思っています(本人が無意識の場合がほとんどですが・・)。
万が一不安材料を集めてしまっても、家族や友人、職場の人と雑談できる環境に身を置くことが重要です。逆に、一人抱えてしまうような雑談すらない状況下の自粛生活の方々に対しては「未知の情報」はタイムラグを経て積み重なることがあるのではと危惧していました。(その結果が今年からの自殺者数に現れているものと思っています)

「ホッとした」けれど大声で言いづらい世の中

コロナが明けたら、これまでのように相談者さんは戻ると思いますか?

戻るというよりも、カウンセリングそのものの概念を変えていく必要があると思っています。 悩みが深く心身の負担になる手前の手前の手前くらいの段階でのメンタルヘルスを整える新たな習慣が、これからの社会には必要だと考えています。

パニックやうつの方々の場合、これまで「どうにかして外に出なければならない」という呪縛のようなものに日々押しつぶされながら過ごしていました。
それが、国を挙げて家にいることが推奨され、その呪縛のような負担が一気に軽減したものと思っています。

なので、クライアントさんたちには「コロナは別にして、時代が私たち(鬱やパニックの人たち)についてきたのね!」と、そんな風に伝えたのを思い出します。

コロナは嫌。でも自粛生活が始まって、確かにホッとしたと思いませんか?
なぜ、その本音が叫びづらい世の中なのでしょうか?

「自粛生活が始まりホッとした」まさにこの言葉の通りです。私自身も、自粛期間に入って「お母さん」として毎日こども達と家で過ごすうちに、その意味がわかってきたように思います。


取材協力:心理カウンセラー 小園麻貴

法政大学法学部法律学科卒業。
高橋 信法律事務所、弁護士法人AITSにて民事訴訟を中心に従事。
その後結婚、自身のパニック障害、鬱を機に退職。
出産後、株式会社タニタにて企業法務を担当。
2014年から心理カウンセラーとして活動。
2019年にカウンセリング活動の一環としてJapan Expo in Parisにてアマチュアモデルファッションショーに出演。
現在は一般社団法人パラダイス・バード代表理事。

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