わたしが虐待「サレ娘」だった頃。夏休みは地獄だった。

オンナの叫び

小学三年生までは、夏休みは学童に通っていたからまだマシだった。それに、両親共に働いていたから、最初の頃は比較的自由に過ごせる。

けれど、学年があがったり、両親が夏休みに入った途端。罵声、暴力、オンパレード。

ついでに夫婦喧嘩。巻き込まれるのはいつもわたし。

逃げ場がなかった小学生時代

小学生のころは、逃げ場がなかった。中学受験を控えていることもあって、遊びに行くことすら禁じられていた。殺伐とした空気のなかで、部屋でこっこりとやるDSのゲーム。ほんとうは受験勉強をしなければならない。だけどわたしは別に受験なんかしたくない。そう思いながらポケモンを育てる。

ひそっ、と、階段を上がってくる音がする。

わたしが勉強しているから、足音を立てずに階段を上がってくるのだ。
もちろん、わたしは聞き逃さない。すぐにDSをしまい、鉛筆を握る。算数を解く、ふりをする。

だけどたまに油断する。見つかる。頭を、脳天を、ぶん殴られて、星が回ったことがある。比喩ではなく、ほんとうにこういうとき人間、星が回るんだなと思った。

別の日には「言うことが聞けないならここから飛び降りろ」と言われたこともある。「美緒がしぬのは悲しいけど、言うことが聞けないんでしょう」と、わたしの部屋、三階の窓を指さして言われた。

わたしはいまでもひとの足音に敏感だ。寝ていても、誰かが動けばすぐに気が付く。後遺症、なのか、適切な言葉が見つからないけれど。

中学生になると、部活でソフトボールを始めたので、夏休みは部活三昧だった。けれど、大事な試合の前日、わたしはピッチャーで出ることが決まっていたのに、「夏休みの宿題を全部終わらせてないなら行かせない」と言われた。まだ、夏休みに入って一週間しか経っていなかった。

終わらせた。手も、終わるかと思った。明日、投げるのに。

ここまで、「どちらに」その発言をされたか、書かなかったけれど、セリフの部分はすべて母親だ。

暴力は父親。

わたしには母親の思考回路がわからなかった。ただ、小学生のときに、勉強をしていないだろう、と疑われて(実際していなかったが)否定すると、「あんたの部屋、カメラついてるんだよね」と言われた。

こわかった。そこまでする母親というオンナが、わからないしこわかった。

もちろん、ウソだったけれど。

わたしを管理下に置きたかったのだろう。自分の思い通りに動く駒でいてほしかったのだろう。事実、「お前は奴隷だ」と言われたこともある。

なんで生んだんだろう。夏休みは地獄だった。

そして、今。おとなになったわたしの「夏休み」

そして。おとなになったいま。

さすがに、両親、母親の管理もなにもない。なんてったって20代半ば。自由に過ごしてますとも。

主に布団で本を読んでいるけれど、エイヒレ。コンビニで買ったエイヒレの炙りをじゃぶじゃぶと貪りながら、活字。

そしてセックス。わたしはまだ「愛する」ことがじょうずにできないけれど、「愛してくれて」いるひとと、セックスをして過ごしている。実家暮らしだから、そのへんのホテルで、朝も夜もなくセックス。

疲れたら、寝る。本を読む。キスをする。繰り返し繰り返し、キスをする。

本とエイヒレとセックス。

なんたる怠惰。「サレ娘」は、毒を含んだ英才教育のおかげで立派に、サボる、いいえ、怠惰に過ごすことを覚えました。

全国の「お母さん」に言いたい、子どもに対して厳しく接しすぎると、反動で将来、とんでもない怠惰オバケが誕生しますよーーー!

あの頃の母親というオンナに、いまこの、怠惰なオンナになった身体でこころで、ばーか!と、舌を出して笑ってやりたい気持ちだ。

今日もエイヒレはうまい。

書いた人 小野寺美緒

1月生まれ。本が好き、映画を観る要領で頭に文字を流す。 わたしのような、みっともないおとなでも生きていけるんだ、と思ってほしいと、頭の中のマーブル模様を文字...

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