「私は嫌い。」あなたは自分の名前、気に入っていますか?

オンナの叫び

幸福度

「名前がすきかどうかで、人生の幸福度が変わる」

誰にだか忘れたけれど、そう、言われたことがある。

わたしは自分の名前がきらい。

幸福度、低いんでしょうか。低いだろうな。

名前の由来

美緒。美しく、情緒のある子に。

そう、願われると同時に、「美」の字は、母親の名前からもらったと聞いた。いらぬプレゼントだ。

母親は、母親ではない。「オンナ」なのだ。いつまでも、いくつになっても、母親になれない種類の、「オンナ」

もう諦めている。母親に「母親」という役割を担ってもらうことは不可能だ。だから「オンナ」としていくらでも生きればいい、わたしたち家族を裏切って、生きればいい。そう思うけれど、母親が偽名を使って見知らぬ男性とやり取りをするとき。

その時に名前を変える部分は「美」の字だ。

捨てる

わたしに与えた「美」を、捨てるのだ、母親は。

もしかしたら、それは母親なりの、すこしの優しさなのかもしれない、と期待したこともある。でもきっと、なにも考えていないのだ。なぜそう思うのと言われても困る。だってそうだからそうとしか言えない。

きらい

だからわたしは自分の名前がきらいだ。美緒なんて、美なんて、いらなかった。どうせ「みお」なら「澪」のほうがまだいい。「緒」という字は比較的気に入っているから、ほかの文字と組み合わせてくれればよかった、とおもう。

自分の名前に違和感が走る

誰かに「美緒」と呼ばれるとき。こころに違和感が走る。

わたしの名前ではないような気がする。ほんとうの名前があるような気がする。

ジブリにて

突然だけどわたしは「千と千尋の神隠し」がだいすきだ。千がハクのお陰で名前を取り戻すとき、銭婆に「いい名だね」と言われるとき、ハクが千尋のお陰で名前を取り戻すとき。

羨ましい。

やっぱり、自分を保つには、確固たるもの、「名前」が必要なのだ。

わたしも思い出したい。「わたし」というものを思い出したい。いまの「わたし」は「わたし」ではない気がするから。

だけど考えたって考えたって、歴代の卒業アルバムを見たって、わたしの名前は「小野寺美緒」なのだ。

わたしがいくら否定しようとも、わたしは「美緒」なのだ。

自分の名前のひびき

それから、「みお」という響き。それも気に入らない。なんだか女性らしい名前な気がする。わたしは自分の中の「女性性」というものを意識したくない。もちらん性自認は女性だし、恋愛対象は異性だ。だけど、「女性である」ことを強く意識させられることに抵抗がある。

だからきらいなのだ、「みお」

「美緒」「美」がやっぱり、女性的過ぎる。

もっと中性的な名前が良かった。なにがいいだろうといつも考える。かずさ、いつき、なつお、ふみお。

隣の芝生は青い、と同じなのだろう。自分の名前がいやだというひとはいくらでもいるだろう。とくに近年はいわゆるキラキラネームが多くなっている。

数年後、その子たちが「自分の名前がいやだ」と言い出すこともあるだろう。

でも、わたしは「いまこの瞬間」いやなのだ。そして「このさきの未来」も、いやなのだ。

気に入っていますか

自分の名前、気に入っていますか?

わたしは鬱になりました。不安障害も患っています。それが原因で「美緒」と呼んでくれるひとは減りました。

名前を呼ばれないのは嬉しいけれど、精神疾患によってそれが無くなるということは決して嬉しいことではないのです。

わたしは自分の名前がきらいだから、幸福度が低いから、こんな人生なのでしょうか。

「美」がつく限り、わたしは不幸なのだと思う。

自分の名前、気に入っていますか?

小野寺美緒

1月生まれ。本が好き、映画を観る要領で頭に文字を流す。 わたしのような、みっともないおとなでも生きていけるんだ、と思ってほしいと、頭の中のマーブル模様を文字...

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