挙式当日に見る現実のオトコ、やっぱり理想のオトコは宝塚に有り!

幼い頃に夢見ていた、白馬の王子様。
シンデレラ姫だったり、白雪姫だったり。
青い瞳のスラリとした王子様とハッピーエンドを迎える。
そんなロマンチックなおとぎ話や、少女マンガで育つ子供の頃。
そして、ジャニーズや韓流スターに夢中になる乙女時代。
おっと!
再び中年になって、ハマる場合もある(笑)
なぜなら?
やっぱりオンナは王子様がスキ!
王子様と結婚した?つもりなんだよね
結婚式の仕事現場で、ため息が出そうになったのを、慌てて飲み込んだ覚えがある。
それは、初めて私が宝塚の舞台を見た数日後の事だった。
もともと演劇が好きだったので、ずっと宝塚の舞台が観たかった。
特にお気に入りのスターが、いたわけではない。
宝塚歌劇の世界を、覗きたかったのだ。
その世界は?
『美しい』それに尽きる。
当然だがトップスターの男役は、何から何まで完璧。
その、ひとつひとつの立ち居振る舞い。
流れるようなエスコート。
そして娘役に対する、眼差し。
まさしく瞳の中には、星☆が煌めいていた。
演目が何だったのかは、残念ながら覚えていない。
ただ、役者の美しさに、目を奪われていた事は覚えている。
それは花組の男役、春野寿美礼さん。
身長168㎝。女性としては少し高めの身長だが、男性として考えたら小柄な身長。
それが舞台の上では、とても大きく感じられた。
「女?だよね」
自問自答しながら、彼の?彼女の動きに見入っていた。
その感動冷めやらぬうちの、仕事だった。
写真撮影の為、新郎新婦をバージンロードの中央に案内する。
その後二人のポーズを作り込む。
カメラマンと同じ目線になる立ち位置に移動。
時にはレンズを覗き込み、細かくカメラマンと共にチェックする。
このようにして毎回、王子様とお姫様を作りあげるのが私の仕事。
カップルの数だけ、オリジナルな王子様が仕上がる。
だけど、この日はその仕事の仕上がりに『なんか違う』と思ってしまった。
これまで、そんな風に見えたことなんて一度もなかったのに。
そんな事を思いながら、挙式のリハーサルをするために、挙式専門アテンダーにバトンをタッチした。
少し離れた所から、現実の王子様を見た瞬間!
『あ~。全然違う。』
『なんなんだ、この違い。同じ人間、しかもあなたは本物のオトコ』
(ひと様の旦那様に対して、失礼極まりなくごめんなさい)
『おっかしいな。ビシッとしたタキシードも着ている』
『ヘアもセットしたし、実はメイクだってちょっとだけしてるのに』
身だしなみや、やっていることは同じなのに。
そうなのだ、現実のオトコが宝塚の王子様に負けているのだ。
オトコ達よ、モテたいなら宝塚をマネろ
それから数年が経過したある日のこと。
いつものように、現実の王子様とお姫様を仕上げた私は、二人をアテンドしチャペルへと移動した。
チャペル前でドレスを持つ手元から、視線を上げた。
その時、一瞬息を飲み込んだ。
『だ、誰⁈』
私の視界に映ったその人の立ち姿は、明らかに違った。
凛としていて、美しかった。
ちょっとしたトキメキさえ感じたのを覚えている。
スタッフに聞いた。「誰?あの人?」
驚きの回答が戻ってきた。
「元タカラジェンヌだって」
「えっ!!」二度見をした。
「はぁ~カッコイイ!もんね」
同僚が「目ハートになってるよ」(そちら路線ではないけどね)
正直言って、顔の印象はあまりなかった。
でも、佇まいが本当に素敵なのだ。
何故、元タカラジェンヌがチャペルスタッフの一員として、あの場に居たのか?
そこは不明だが、他のスタッフと同じようにダークスーツを着ていた。
それでも滲みでる、元男役の習性。
宝塚の男役の人は、当然ながら本当は女性。
『男』になるために。
『男』を意識して。
『男らしさ』を研究して。
徐々に素敵な『男』へと成長するのだろう。
男役の人は、洋画などを見て『男』の仕草や立ち居振る舞いを研究すると、聞いたことがある。
レディーファーストが当たり前の欧米。
女性を大事にする心があるからこそ、言動が伴うのだろう。
大事にされたい『オンナ心』を理解している女性が、男性を演じるからこそ、少女漫画の世界の王子様になるのではないだろうか?
代表的な〈ベルサイユのばら〉のオスカルのように。
小学生時代、クラスの?いや学校中の女子が〈ベルサイユのばら〉に夢中になった。
そこに、オンナが王子様に憧れる要因があるように思う。
オトコ達よ!あなた方は生まれながらにオトコだ。
でもそこに、あぐらをかき怠けていると、オトコとしての魅力がくすんでしまうよ。
(あっ!オンナもだね)
王子様を、現実の世界で見つけられないから?
オンナは100年以上もの間、宝塚のオトコに入れ込み続けているのだろう。
未来永劫かもね。